〜ESG、責任投資、サステナビリティを考えるヒント~
バークシャー・ハザウェイ(以下「バークシャー」)は5/1に株主総会を開催し、その結果を5/5付で米国証券取引委員会(SEC)に提出しました。日本の上場企業も臨時報告書で総会の結果を公表していますが、これは米国の制度を取り入れたものです。
結果データは下記の通りで株主提案はいずれも否決されました。
議案 | 賛成 | 反対 | 棄権 | |
1. 取締役選任 | Warren Buffett | 535,758 | 12,061 | – |
Charles Munger | 535,071 | 12,748 | – | |
(以下略) | ||||
2. 株主提案1 気候変動報告 | 153,380 | 388,695 | 5,744 | |
(提出者:カルパース他2社) | ||||
3. 株主提案2 ダイバーシティとインクルージョン
情報開示 |
146,842 | 395,017 | 5,960 | |
(提案者:アズユーソウ) |
出所:SEC提出書類をもとに筆者作成
前号(バークシャー・ハザウェイに対するESG株主提案の行方に注目)にも書きましたが、ウォーレンバフェット氏はバークシャーのクラスA株248,734株、クラスB株10,188株を保有しています。これは同社議決権の32.1%に相当します。また、バフェット氏を含むバークシャーの取締役及び経営陣の保有議決権は35.3%と1/3を超えます。
株主提案2については、以前からカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)やケベック州貯蓄投資公社(CDPQ)がバークシャーにコンタクトして、対応を促していたものの、反応が悪かったことから、フェデレーテッドハーミーズと相談して、三社で株主提案に踏み切ったとのことです。
米国ではバークシャー以外に対してもESG関連株主提案が多く提出されています。中には過半数の賛成票を獲得するものも少なくありません(バークシャーは賛成が過半数に達していませんが)。
しかし、日本と異なり、米国の株主総会で過半数の賛成票を獲得しても、必ずしもその提案が採用されるとは限りません。日本は株主総会で可決すると「必ず」それを実施しなくてはなりません。つまり、議決結果には法的拘束力があるわけです。しかし、米国の株主提案の多くは勧告的(non-binding)決議であり、法的な拘束力があるとは限らないのです。ほとんどはビジネス上の判断として取締役会で当該提案は採用されないこととなっています。
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