〜ESG、責任投資、サステナビリティを考えるヒント~
バークシャー・ハザウェイ(以下「バークシャー」)、そして同社を率いるウォーレン・バフェットといえば日本でもよく知られている投資家です。機関投資家、個人投資家にかかわらず、ファンも多いです。最近では日本の商社株に投資をしたことが大きく取り上げられました。
バークシャー自身もニューヨーク証券取引所上場企業であり、今年の株主総会は5月1日に開催予定です。その招集通知(英語)が3月15日付で公表されました。
上程されている議案は、①取締役選任、②株主提案-1、③株主提案-2の三本で、株主提案は両方ともESG関連です。
まず、最初の株主提案-1(第2号議案)は気候変動に関するものです。米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)と、フェデレーテッド・ハーミーズ(米フェデレーテッドと英ハーミーズが2018年に合併し、2020年に名称変更)、そしてカナダのケベック州貯蓄投資公社(CDPQ)の機関投資家3機関が共同で提出しました。バークシャーの取締役会に対してバークシャー、その子会社及び投資先の気候変動にかかるリスクと機会についてアセスメントを毎年行い、株主総会までに報告書を作成・公表すること、という内容で、報告書には次の3点を書くべきであると示しています。
二つ目の株主提案-2(第3号議案)は企業のCSR、ESG状況を監視し、企業の対応を促すNPO法人アズ・ユー・ソウ(As You Sow)がハンドラリーホテルズ(Handlery Hotels)の代理として提出しました。バークシャーはダイバーシティとインクルージョンに関するデータをまとめ、報告書を毎年公表すべしというものです。投資家は定量的で比較可能なデータを求めているとしています。
これらの株主提案に対し、バークシャーの取締役会はいずれも全員一致で反対としています。気候変動について、バークシャー取締役会は「高度に分散した多くの子会社、関連会社がそれぞれ気候変動に対応するよう任せており、定期的に報告を受けている」、「(主要ビジネスの一つである)保険会社について気候変動の株主提案が出されたことがあるが、同ビジネスは気候変動に大きな影響を受けないことは2015年のアニュアルレポートに書いた通りである」、「個々の企業が適切に対応している」ことなどをその理由としています。ダイバーシティとインクルージョンについても「バークシャーには複数の女性取締役がおり、人種的な配慮もされている」、「個々の子会社、関連企業はそれぞれ状況が異なるので、一律の開示は望ましくない」などとして反対しています。
実はバークシャーに対するESG関連株主提案は今までも出ていますが、すべて否決されています。バフェット氏が議決権の32.1%を保有していることから、今年の株主提案についても否決の可能性が高いと思われますが、2号議案については提案者が有力な機関投資家であること、米国がバイデン政権に代わって気候変動を重要視していること、さらにSECが気候変動ディスクロージャーを重視すると表明していることなどから、どの程度の賛成票を獲得できるのか、注目されます。
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