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海外機関のESG情報(7月)

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海外機関のESG情報を隔月でお送りいたします。

 

ICGN(International Corporate Governance Network)

ICGNが「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第27回)に対してコメント提出

ICGNが「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第27回)に対してコメントを提出。フォローアップ会議の議題は、コーポレートガバナンス・コード再改訂(2021年)後の中間点検、持続的な成長に向けた課題、企業と投資家との対話に係る課題。ICGNは、これまでの進歩を評価しながら、更なる改善を求める。プライム市場に上場している企業は、独立社外取締役が過半を占めるよう求める。その他、資本配分に関わる情報開示の改善を求める。有価証券報告書(有報)が定時株主総会より前に発行されることを推奨し、コーポレートガバナンスとサステナビリティに関する情報は、有報に開示されることを推奨。投資家との対話については、企業はコンプライ・オア・エクスプレインの下で、コーポレートガバナンス・コードを遵守していない点について分かりやすく説明する必要があるとしている。

https://www.icgn.org/japan-fsa-icgn-response-interim-review-following-2021-revision-corporate-governance-code

 

Climate Action 100+

Climate Action 100+が気候関連の株主提案に関する記事(Ceres調査)をリリース

2022年4月28日時点で、米国では250の気候関連の株主提案が提出されている。最も多いのは、温室効果ガス(GHG)の削減目標の設定を求める又は既存の目標に対する進捗状況に関する開示を求めるもの。投資家に対して株主提案を提出しない代わりにGHGの削減目標を設定又は強化することを約束した企業も多い。次に気候関連のロビー活動に関するものが2番目に多い。24の企業で取り決めをしている。金融については、化石燃料の生産拡大のファイナンスを取り止めることを求める議案が23ほど提案されている。ジャスト・トランジション(公正な移行)を求める議案も複数ある。取締役の再任に反対を求めるものも多い。

https://www.climateaction100.org/news/as-2022-proxy-season-begins-record-numbers-of-climate-resolutions-and-agreements-bode-well-for-action/

 

SEC(Securities and Exchange Commission)

BNY Mellon Investment Adviserが運用するファンドについて、ESGに関する主張が不正確であるとして、同運用会社に1.5百万ドルの罰金を科す

BNY Mellon Investment AdviserがESGの評価プロセスについて、投資対象企業のESGの質を評価していると主張するが、SECは全ての投資先について行っていないとして、同運用会社に1.5百万ドルの罰金を科した。

https://www.sec.gov/news/press-release/2022-86

 

運用者によるESGについての情報開示に関する新ルール案を公表

SECはESGを考慮すると主張するファンドマネージャーは、目論見書に考慮するESG要素と使用する戦略を開示することを義務化。情報の開示量は、ESGを考慮する度合いによる。ESGを主なテーマとするファンドは、より詳細な情報を標準化した形で開示する必要がある。インパクト・ファンドは、目標に対する進捗の計測方法を開示する必要がある。環境を考慮するファンドは、ファンドの投資先企業のGHG排出量を開示する必要がある。

https://www.sec.gov/news/press-release/2022-92

 

EU(European Union)

EUは、天然ガスのロシアへの依存度を引き下げるための計画EPowerEUを公表

気候変動対策と重複する部分が多く、以下の要素から構成される。

・省エネ化

・エネルギー源の分散化

・再生エネルギー活用の加速化

・化石燃料活用の削減

2027年までに2,100億ユーロの追加投資が必要となるが、ロシアからの化石燃料の輸入削減で1,000億ユーロの費用が削減される。

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_22_3131

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=COM%3A2022%3A230%3AFIN&qid=1653033742483

 

ISSB(International Sustainability Standards Board)

ISSBがグローバルなベースライン導入までのプロセスを公表

IFRSサステナビリティ情報開示基準のグローバルなベースラインのコアな要素は、2022年末までに導入される予定。専属のワーキング・グループを通して各地域のサステナビリティ情報開示のニーズについて情報を求め、各国当局との対話を加速させる。また、国際組織などとの協働に向けて、諮問機関を構築中である。GRIとの協働MOU(基本合意)を締結済である。

https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2022/05/issb-outlines-actions-required-to-deliver-global-baseline-of-sustainability-disclosures/

 

PRI(Principles for Responsible Investment)

PRIが中国におけるスチュワードシップに関するレポートを発行

第1部では、スチュワードシップの意義を説明。第2部では、ケース・スタディに基づき、中国におけるスチュワードシップの実態を記述。第4部では、規制について、第5部では、推奨について記述。中国の投資家は、ESG要素についてスチュワードシップ活動を実施し始めているが、体系立っていない。そのため、スチュワードシップ・コードの策定が望ましい。

執筆者:ESGバイオリン

 

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