SR(Shareholder Relations)・IR総合支援、株主判明調査、議決権行使対応、コーポレート・ガバナンス

JSS 日本シェアホルダーサービス株式会社

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第1章 序論

日本シェアホルダーサービス
今出 達也

本書は2013年初頭に上梓した「株主と対話する企業(商事法務)(以下、「前作」という)の続編である。

「対話を敬遠する企業から、対話によって信頼を勝ち取る企業へ」が前作のキャッチフレーズであった。その後現在まで日本の株式上場企業のほぼ全てが株主・投資家との「対話の時代」に突入することとなった。その間、日本企業の平均株価は約12年で4倍強まで上昇した。本書は、わが国の上場企業が、資本市場、株主・投資家との対話を活かして、企業の価値を高めていくことを目標としている。日本は企業と自国市場への信頼をどこまで勝ち取ることができたのだろうか。

本書が取り上げるべきテーマは、前作より一段と多面的で多様である。
近代稀に見る2年を超えるパンデミック期間を経て、世界ではどうやら分断が進み、各地で戦争が行われている中、気候変動も不都合な方向に進んでいるように見える。米国では「アメリカ第一主義」の大統領が復帰し、ビッグデータ、人工知能(AI)の時代も現実化した。これらが全て産業や資本市場に深く関わっている。

日本ではバブル崩壊後の通称「失われた20~30年」からの脱却を目指し、「アベノミクス」日本再興戦略による政官主導のコーポレート・ガバナンス改革が発足し、そのアジェンダは、世界でESGに配慮する責任投資がメインストリーム化した中、インベストメント・チェーンの改革も含めて現在も続いている。これらは「失われていた」期間には実質的には終わっていたと言える戦後の日本株式会社のモデルの創造的破壊を意図しているように見える。

以下本書に続く

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